ドンクについて

ドンクは今年で創業119周年。
日本のパンの歴史とともに歩み続ける老舗ベーカリーです。

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私たちのこだわり

ドンクの確かなおいしさは職人魂から

File.No1 岡田重雄
1953年石川県生まれ。服部栄養専門学校卒業後、株式会社ドンクに入社。セントラル工場のフランスパンラインを長く担当。1994年、フランスでのパンのワールドカップに日本代表の1人として出場。チームリーダーをつとめ、総合3位の成績をおさめる。

フランスパンは素材がシンプルな分、
ごまかしがきかない、そこが面白い

岡田はドンクのアルチザンのなかでも珍しく、料理系の専門学校出身。授業で日本料理や洋食などのいろいろな料理を体験していくうち、パンに出会い、一番のめりこむことができたパン作りの道へ進みたいと考えるようになります。

そして、具体的な進路を考えていたとき出会ったのがドンク青山店のフランスパン。本格的なフランスパンのおいしさに惹かれ、ドンクへ入社を決意します。入社後はすぐにフランスパン専用の工場に配属され、2・3年は夜勤の仕事を続けました。その当時、フランスパンは専用工場で夜中に仕込みし、焼き上げ、各店の開店時間に合わせて配達していました。その関係で午前4時までには焼き上げないと間に合わないため、フランスパン製造につく職人は夜勤になってしまいます。夜勤は生活が不規則になり、体力的にもハードでしたが、「本格的なフランスパンを作りたい」という岡田の情熱は失われることなく、それ以降もフランスパン作りにこだわり続けています。「フランスパンは素材がシンプルな分、ごまかしがきかない、そこが面白い」と岡田はいいます。

ドンクは、現名誉会長藤井幸男が「フランスパンの神様」とも呼ばれる元フランス国立製粉学校教授カルヴェル氏と出会い、「本格的なフランスパンはドンクが作る」という信念のもと技術力の向上を目指していたため、常にフランスから本場の技術者を招き、技術指導にあたらせていました。ドンクで7年半勤め、日本のフランスパンの基礎を築いたフィリップ・ビゴ氏や、続いて来日してフランスパン専用の小麦粉の開発にも協力したピエール・プリジャン氏を始め、今日まで20人を超える一流フランス人技術者がオーブンの前に立ってきました。そして日本人技術者は、本場フランスでの研修やフランス人技術者の講習を受けるチャンスを与えられています。これは、人材と蓄積された技術力を大事にするドンクならではの環境。こうした環境に身を置いていた岡田は、ドンクが長年かかってつちかってきた伝統や歴史を感じ、「自分ももっとおいしいパンを作らなければならない」、と強い使命感を持つようになりました。

やがて岡田は、日本が初出場した第2回のパンのワールドカップ「クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー」にバゲット・パンスペシオ担当として出場。そして、初出場で情報が少なかったにも関わらず、スイス、フランスに続き堂々の3位入賞という結果を出しました。今でこそ1年ほどの国内でのトレーニング期間を経て参戦、という形をとっていますが、この時は日本出場決定が決まってわずか6か月という、あまりにも短い間で結成した日本選手団。それでも、今までドンクで本格的なフランスパンを目指し、作り続けていた岡田の作ったバゲットはフランス人にはとくに評判が良かったといいます。

大会終了後、周囲に顔つきが変わった、と言われた岡田。身につけた大きな自信が顔に表れたのかもしれません。そして、2008年のクープ・デュ・モンドに向け、日本での実行委員長にも選ばれました。「今後はパン業界に恩返しがしたい」。自分自身が受け継いだ伝統技術を後輩に伝えて育てていく、これもアルチザンの大切な仕事なのです。