技術だけにとどまらない、パンづくりの奥深さ
子供の頃からの憧れだったパン職人を志し、ドンクに入社した傍島と久野。現在は、店舗の商品クオリティを管理する製造チーフという立場から、パンづくりの厳しさや奥深さを改めて実感している。入社5年目、3年目という若手チーフの二人が、日々のパンづくりの中で大切にしていることとは何か?思いつくままに語ってもらった。
傍島 加織
2014年入社。そごう千葉店で3年半にわたってパンづくりを学んだ後、2017年にそごう大宮店へチーフとして異動。
久野 誠也
2016年入社 名古屋の栄ジョアン店と西武岡崎店でパンづくりを学び、2018年の12月からは高岳にオープンする新店のチーフへ昇格。
01.
二人がドンクに入社したきっかけは?
久野
私は専門学校の先生がドンクのOBで、就活の時に勧めてくれたのがきっかけです。店で生地づくりから焼成まで一貫して行うスクラッチベーカリー方式を導入していることや、製パンの世界大会出場実績などもあると知り、ここなら本格的なパンづくりが学べると思い入社を決めました。
傍島
ドンクのことは先生の紹介で知りました。調べてみると100年以上の歴史がある老舗ベーカリーで、しかも日本で本格的なフランスパンを作り、広めてきた会社。技術を学ぶならここしかない!と思いましたね。
02.
二人とも高い技術を学びたい、という思いが共通していますね。
今はどんな仕事をしているのですか?
傍島
私はそごう大宮店の製造チーフとして、生地の仕込みや成形、焼成など一連の製造工程に入りながら、全体の流れを見て、パンの品質が安定するよう管理しています。あとは自店オリジナルの新商品開発にも取り組んでいます。
久野
傍島さんより2年後輩の私は、ようやく製造の一連の流れができるようになったところです。2018年12月からは名古屋の高岳にオープンする、ドンクと「RF1」とのコラボ店のチーフを任されることが決まっています(取材時は2018年10月)。今はそのための準備期間として、材料の発注や新商品の提案なども少しずつ始めています。
03.
新店を任されるなんてすごいですね。でもプレッシャーもあるのでは?
久野
そうなんですよ。初めてのことなので今から不安で。ちょうどいい機会なので傍島さんにアドバイスをもらいたいのですが、チーフとしてどのように後輩やパートさんの指導をしているのですか?教育のノウハウを教えてほしいです。
傍島
実は私もチーフに昇格した当初はそれが一番の悩みでした。しかもお店のスタッフは全員自分より年上だったので、どう接していいかもわからなくて。でも、パンづくりはチームワークが大切だと思っているので、今は教えるというよりむしろ、みんなに助けてもらうという姿勢で臨んでいます。そうすると皆さん協力してくれますよ。
久野
なるほど、ありがとうございます。私もまだ社歴が浅く、周りは年上の方ばかりなので不安だったのですが、そう聞いて少し気が楽になりました。
04.
パンづくりにはチームワークが大切なんですね。
傍島
私はパンを通して誰かに喜んでもらいたいという思いからこの仕事を始めました。誰かを喜ばせるという意味では一緒に働く仲間にもパンづくりを心から楽しんでほしい。そんな思いがあって、お店のチームワークはとても大切にしています。
久野
ドンクは5〜6人のチームでパンを作るのでコミュニケーションは大事ですね。特にパンの状態は室温や湿度に左右されるので、「昨日はこうだったから、今日は仕込みのミキサーを長めに回そう」など、ちょっとした会話がパンの良し悪しに影響するんです。
傍島
毎日パンを作っていると疑問に思うことや上手くいかないことがたくさんあります。そんな時も先輩や上司に質問すれば、すぐに的確なアドバイスをもらえるので技術を学ぶには最高の環境ですよ。
久野
フランスパンやカンパーニュなどドンクの定番商品については、年2回、各店舗の商品が規格通り作れているか本部の品質チェックが実施されます。厳しい審査によってドンクのクオリティが保たれているんです。プレッシャーもありますが、その分みんなで良いものを作ろうと気合が入りますね。
傍島
店舗同士の交流も活発ですよね。勉強会や研修、エリアの社員旅行などで普段あまり仕事で関わることのない上司や先輩とも気軽に話せる機会があるのは嬉しいです。
久野
そういう機会があるから、他店のチーフに相談したり、いろんな人とコミュニケーションが取りやすいんですよね。先ほどは傍島さんにもアドバイスをいただき、有難かったです。
05.
最後に、これからの目標を教えてください。
傍島
まずは、自店のオリジナル商品でヒット商品を生み出すこと。社外コンテストにも積極的に挑戦しています。そしていつかは尊敬している上司のようなパン職人になりたいですね。パンづくりの技術はもちろん人間性も素晴らしい方で部下の面倒見もよく、私もとてもお世話になっています。これぞ私がめざすパン職人だと、日々目標にしてがんばっています。
久野
ドンクには凄い技術と知識を持った先輩方がたくさんいるので、一緒に仕事をしていると非常にいい経験になりますし、成長を感じています。私は12月から任される新店のチーフとして、お店をしっかりとまとめていきたい。また、新店はオープンキッチンスタイルで、製造スタッフがお客様と対面する機会も多くなるので、ただ作るだけでなく、買っていただくお客様の気持ちに寄り添ったパンづくりができる職人になりたいです。